プリンターサーバー上のプリンターを追加しようとすると、管理者資格情報を求められる。以前から使っているプリンターなのに、ドライバーだけ更新されない…。
この症状は、2021年以降に強化されたPoint and Printのセキュリティ対策が関係している可能性があります。ただし、接続エラーのすべてがPoint and Print原因とは限りません。
結論として、最初に確認したいのは「管理者で試すと成功するか」「プリンターサーバー名を正しく引けるか」「ドライバーがパッケージ対応か」の3点です。一般ユーザーへドライバーのインストールを無条件に許可するレジストリ変更は、解決が早く見えてもセキュリティ上のリスクが残るため、この記事では推奨しません。
忙しい人向けの結論
| 確認結果 | 次に試すこと |
|---|---|
| 管理者なら追加できる | ドライバーの事前配布・更新方法を見直す |
| サーバー名でも共有を開けない | DNS、SMB、ファイアウォール、共有名を確認する |
| 特定の機種だけ失敗する | ドライバーの種類・署名・パッケージ対応を確認する |
| 全端末で同時に発生した | 更新履歴、GPO、プリントサーバー側の変更を確認する |
安全性を保ちながら進めるなら、承認済みサーバーをGPOで限定し、必要なドライバーは管理者側で事前配布するのが基本です。
Point and Printとは
Point and Printは、クライアントPCがプリンターサーバーへ接続したときに、必要なプリンタードライバーを取得して利用する仕組みです。
以前は一般ユーザーでもドライバーを導入できる場面がありましたが、PrintNightmare関連の対策後は、ドライバーの新規インストールや更新で管理者権限が必要になるのが標準です。ここを以前の動作へ戻すと接続できる場合はありますが、脆弱性対策も弱めてしまいます。
まず確認したい5項目
1. 管理者で追加すると成功するか
管理者資格情報を使うと追加でき、一般ユーザーだけ失敗するなら、権限またはドライバー導入時の制限が関係している可能性が高くなります。
反対に、管理者でも失敗する場合は、Point and Printだけに絞らず、共有パス・DNS・ドライバー・スプーラーを確認した方が早いです。
2. プリンターサーバーを名前で開けるか
\\PRINTSERVER
エクスプローラーのアドレスバーにプリンターサーバー名を入力し、共有プリンターが表示されるか確認します。IPアドレスでは開けるのに名前では開けない場合は、DNSや名前解決側の問題かもしれません。
3. ドライバーの種類とバージョン
プリントサーバーの「印刷の管理」で、対象プリンターが使用しているドライバー名、バージョン、アーキテクチャを確認します。古い非パッケージ対応ドライバーや、署名に問題のあるドライバーは、現在のWindowsで配布に失敗することがあります。
4. イベントログ
クライアント側のイベントビューアーで、次のログを確認します。
アプリケーションとサービス ログ
└ Microsoft
└ Windows
└ PrintService
└ Admin
接続を試した時刻のエラーを確認すると、権限・ドライバー・通信のどこで止まっているか判断しやすくなります。
5. 適用されているGPO
gpresult /h "%USERPROFILE%\gpresult.html"
このコマンドは問題のクライアントPCで、管理者として開いたコマンドプロンプトから実行します。出力したHTMLを開き、プリンター関連のコンピューターポリシーが適用されているか確認します。PRINTSERVER は実際のプリントサーバー名へ置き換えてください。
安全性を保った対処方法
方法1:管理者側でドライバーを事前導入する
台数が少ない場合は、管理者資格情報を使って一度ドライバーを導入し、その後に一般ユーザーへプリンターを割り当てる方法がわかりやすいです。
複数台へ配る場合は、端末管理ツールや管理者権限で動く配布スクリプトなどを使い、ドライバーパッケージを先に導入します。利用者へ管理者権限を渡さずに済むため、運用と安全性のバランスを取りやすくなります。
方法2:GPOで接続先サーバーを限定する
ドメイン環境では、次のポリシーを使って接続を許可するプリンターサーバーを限定できます。
コンピューターの構成
└ ポリシー
└ 管理用テンプレート
└ プリンター
└ ポイント アンド プリントの制限
「ポイント アンド プリントの制限」を有効にし、「ユーザーはこれらのサーバーにのみポイント アンド プリントできる」を選び、実際のプリントサーバーのFQDNを指定します。複数はセミコロンで区切ります。新規接続・ドライバー更新の警告や昇格要求は抑制しません。変更前の有効・無効・未構成とサーバー一覧を記録し、戻す場合はその状態へ復元します。パッケージ用の「承認済みサーバー」ポリシーとは別の項目です。
注意:承認済みサーバーを指定しても、一般ユーザーが新しいドライバーを管理者権限なしで導入できるようになるわけではありません。サーバーの限定と、ドライバーの事前配布は別の対策として考える必要があります。
方法3:標準の管理者制限を維持する
次の値は、未設定または 1 が安全側です。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows NT\Printers\PointAndPrint
RestrictDriverInstallationToAdministrators = 1
現在値は、管理者権限のコマンドプロンプトで確認できます。
reg query "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows NT\Printers\PointAndPrint" /v RestrictDriverInstallationToAdministrators
「指定されたレジストリ キーまたは値が見つかりません」と表示される場合は未設定です。Windowsの既定動作を確認したいだけなら、無理に値を作る必要はありません。
避けたい設定
インターネット上では、次のような値を使ってプロンプトを消す手順も見つかります。
RestrictDriverInstallationToAdministrators = 0NoWarningNoElevationOnInstall = 1UpdatePromptSettings = 2
これらは接続問題を回避できる場合がある一方、一般ユーザーによるドライバー導入を許可し、警告も抑える方向の設定です。Microsoftも RestrictDriverInstallationToAdministrators = 0 を脆弱な構成として扱っています。
一時的な切り分けで変更した場合も、そのまま運用へ残さず、管理者制限へ戻してから別の配布方法を検討してください。
それでも接続できない場合
- プリントサーバーとクライアントのWindows Update状況を揃える
- メーカー提供の新しい署名済みドライバーへ更新する
- 古いドライバーを削除する前に、利用中のプリンターを確認する
- Print Spoolerの再起動は業務影響を確認してから行う
- エラーコードだけで原因を決めつけず、PrintServiceログも確認する
同じ「プリンターに接続できない」でも、名前解決、共有権限、ドライバー、GPOで対処が変わります。まず管理者で成功するかを境目にすると、切り分けやすくなります。
AD環境でGPOを使った配布を試したい場合は、GPOでネットワークドライブを自動割り当てする手順も、適用確認の流れをつかむ参考になります。
参考資料
管理者権限が必要になった背景と既定動作は、Microsoft公式のKB5005652:Point and Printの既定のドライバーインストール動作でも確認できます。
プリンター配布用のGPOを変更しても一部のPCだけ反映されない場合は、ドライバー制限と分けて、gpresultでGPOの適用結果を確認する手順も確認すると原因を追いやすくなります。
このページのドライバー導入・印刷結果は、実機プリンターでの確認記録がまだありません。管理者でのドライバー準備後も、実際に使う標準ユーザーで共有プリンターの追加とテストページの印刷を確認してください。失敗時はエラー全文とドライバー名・版を控え、管理者要求を無効にして回避しないでください。

